服好きな大学生の僕の手記。

「もっとも暗い闇を抜けなければ、夜明けはやってこないのだから。」(日記9月ツー)

最近摂取したものについて書きます。

メイドインアビス

メイドインアビスの二期が始まっていたので、アニメ版で全部見ました。

特に映画版はきつすぎてその日1日のやる気が全部削がれて、ベッドの上でただただ放心することしかできなくなりました。

巨大な大穴『アビス』の縁に築かれた街、『オース』で暮らす探窟家見習いの少女・リコ。ある日、探窟中に孤児院の仲間の少年・ナットが巨大な蛇状の生物「ベニクチナワ」に襲われているところに遭遇する。とっさの機転で注意を逸らしたリコだったが、今度は自分がベニクチナワに襲われてしまう。絶体絶命のその瞬間、突然辺りが閃光と轟音に包まれて・・・。

メイドインアビスでは残酷でどうしようもない展開が多く起こります。それこそ作者に対してどうしてそんな非道い事が出来るんだと泣きつきたくなるような。

しかしそれでも、アビスを進み続けるリコ達の可愛さとロマンだけが唯一の読者の支えになる、僕がメイドインアビスを視聴するとき、ここは重要なファクターだと考えています。

どんなに苦しい展開や、汚い大人達が現れても、彼らアビスに挑戦する探窟家たちの根本には憧れとロマンがある。彼らが冒険する事になるアビスと呼ばれる大穴には、神秘的で残酷な原生生物が生息する地獄である。地獄に倫理観は通用しないのです。

それでも憧れは止められないと語るナナチも、ボンドルドのやり方は否定してもロマンには共鳴するリコも、生食い鬼畜ワズキャンも、彼らを突き動かすたった一つの衝動は未知への好奇心なのです。それが美しい。

美しさといえばベラフのセリフが好きです。

「美しいから美しいのではない。醜いから醜いのではない。」

「その通り 美しさとは目だ。いいか即物的な目ではない、眼差しと捉えよ。立場、身分、名誉、姿形、そして自信すらも美の本質ではない。

醜く爛れようが理不尽を前に倒れようが立ち上がることすら否定されようが、睨みつけ、慈しみ、憧れつづける。その眼差しこそが美しさの本質なのだ。」

たとえどんな事が起きようと、どんな形に成ろうと、憧れを止めなければ美しくいられるという彼の美学が本当に好きだ。キャラクターが美学を語るシーンだけを眺めていたいよ。

『邪神ちゃんドロップキック』

邪神ちゃんもついに3期まできてしまった。というか冷静に考えても上半身裸の女が当然として主人公してるの面白すぎる。

特にゆりねとぴのが好きです、僕は情緒不安定な女と偏屈なゴスロリ美少女が好きなので。

邪神ちゃんとゆりねの関係が良いですよね。邪神ちゃんはどうしようもないクズなのですが、実は作中でも人への理解力が高く他人の気持ちがわかるやつなのが憎めないですよね。まぁ本当にクズなので他人の気持ちを察した上で嫌な事してくるようなやつなんですが。本当にカスなので…

しかしそれをゆりねは戦闘力で確実に上にいくという事で解決している。彼女らの信頼関係をバイオレンスなギャグとともに楽しむこの時間がもうすぐ終わってしまうと考えるとかなり悲しいです。

『しろいろの街の、その骨の体温の』

しろいろの街の、その骨の体温の (朝日文庫) | 村田沙耶香 |本 | 通販 | Amazon

僕は、自分は結構性格が悪い発言をしがちだな。と思う事がよくあるんですけど、村田沙耶香先生に比べたら全然かわいいものだと思います。

「私は嫌いという言葉が好きなのかもしれなかった。この言葉を口にしていると、自分がどんどん鮮明になっていく気がする」

という主人公のセリフが好きです。

自分の地元が嫌いな主人公がそれを口に出す事で自分自身を、というより自分のなりたい姿をより明確化させる。他人と共感するためではなく、自分自身をより理解するために、自分の嫌いなものを理解する必要がある、と考える女子中学生のモラトリアムが良い。

この本では同級生の信子ちゃんという女の子が登場するのですが、主人公は彼女の事を、子どもっぽくて、群れることが好きで、自分の容姿に無関心な人だと見下しています。

「ね、信子ちゃんってこの街、好き?」

(信子ちゃんなら好きって言うだろうな)という期待を込めて質問する主人公。その後、この街がなんとなく好きと語る信子ちゃんに対して

「信子ちゃんは、やっぱ、そうだよね」

と得意げになる主人公が残酷すぎる。そして本当は見下されてる事を知っていて、それでも無知なふりをする信子ちゃんの精神も辛い。

あえて自分が見下しているような人とばかり友達になる事で、自分自身の正しさを認識しようとするような、そういう人間の非情な心理描写を描くのが本当に上手い。人間が見下している相手に嫌いなものを共有しない事は往々にしてあると思います。

結局主人公は、誰が下か、誰が上か。そんな事ばかり考えている時点で自分が大嫌いな町から抜け出せずにいます。

でもあるきっかけで大嫌いな町や勝手な優劣を生むヒエラルキーから解放される。その過程での主人公の考え方の変遷が繊細で綺麗です。

リコリス・リコイル』

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日本の治安を守る秘密のエージェント「リコリス」である井ノ上たきなは、ある事件をきっかけに喫茶「リコリコ」への転属が命じられる。超優秀なNo.1リコリス(?)の千束とバディを組み、DA復帰を目指し意気込むたきなだが、リコリコでの仕事はひとクセもふたクセもあり!?

出た出た。オタクはすぐアニメの美少女を戦わせる。少女たちの犠牲の上に穏やかな日常があるという世界観が好きだからだ。

↑正解

ただ僕はそういう社会構造の暗さではなく、主人公である井ノ上たきなと錦木千束との関係に全ての興味があり、それ以外はその関係性を深く鮮明に描写するためのスパイス程度のものだとしか思っていません。これは大人たちの視点での物語ではなく、あくまで二人の物語だと思うからです。

特に日常回の二人の掛け合いが心から楽しそうで良い。過酷な運命を背負っているはずの千束が、誰よりも人間臭く、泣いて笑って怒っている。その緩急がより彼女の可愛さを引き立てている。

まだ最終回は来てないのですが、物語が終盤になるにつれ二人の日常的なやり取りを見れないのがただきついですね。

どうかハッピーエンドであってくれ。